序 美男子では損である 寺山修司
第1章 ある青春
●三島由紀夫さんと過ごした日々(1971年)
- 朝一番の電話
- 強烈なスリルをともなったプレイ
- 結婚式の祝辞
- 『銀座のお姐ちゃん』事件
●私のシナリオ修行(1960年)
- 「シナリオ・ライターなどは男のする仕事ではない」
- 「WIPEをしてO・L」「F・Oして、カメラ・パン」
- 新人プロデューサー・藤井浩明氏との出会い
- 映画は人と人とのつながりを無視しては成立しない芸術様式であります
●ヤケコーヒーの味 (1959年)
- 太ったおばさんとカラス天狗の喫茶店で
- もてあましていたエネルギー
- 『潮騒』のラジオドラマ
- 街ですれ違ったおさげの少女
第2章 父・八住利雄のこと ——映画と野球とナニワブシ
●父の背中、息子の註文(1968年)
- 活動屋の世界の旅人
- 子供のぼくに、かなり強い口調で、つぶやくのだった
- どうしてぼくのような怠け者のセガレが出来たのか
- 「たかが映画さ、テレビは屑さ」
●八住利雄氏の歪んだ微笑(1959年)
- 北川冬彦氏の驚き
- テレビで野球、ラジオで漫才
- 自由奔放な活躍ができる自らの故郷へ
- ヨウカンと酒の組み合わせ
第3章 日本映画に未来はあるか ——夜中に煙草をくゆらせて
●若い仲間 ——大江健三郎さんとのおしゃべり(1959年)
- 成城駅前のコーヒー店にて
- 石原慎太郎のスポーツカーと大江健三郎の自転車
- 「その点、白坂さんは恵まれていませんね」
- 日本映画に大きな革命が必要である!
●イタリアン・バイタリティ(1967年)
- 映画は、斜陽産業である
- カンヌのパーティー
- 「盗作の元凶」との出会い
●午前三時の書斎 ——彼の場合(1958年)
- 『喜びも悲しみも幾歳月』は愚民政策映画である
- スタァは何故太るのか
- 自分の書いた映画の完成試写後の彼
●カンヌ・お祭り騒ぎの夜(1966年)
- パリのゲイ・バー
- ゴダールの話題は、もっぱら、日本だった
- 「何故、日本からの出品作がないのか」
- ソフィア・ローレンに"堕落賞"を
●一九五八年の七日間(1958年)
- 映画人たちは、政治などにはまるで縁がない
- 笠原良三氏「『巨人と玩具』のような映画は否定する」
- 「一億総白痴化」に喝采したい
- 原爆を製造するよりテレビ塔を建てる方が進歩的である
- 資本家の前で、絶対に、低姿勢をとってはいけない
●性の映画の破壊力 ——蔵原惟繕監督とのおしゃべり(1966年)
- 『黒い雪』について
- 観客の精神に衝撃を与える最も効果的な武器
- 撮りたい映画は「ブルー・フィルム」
- 性は、人間の、もっともファンダメンタルなエネルギーである
- 性的映画に正当な評価を
●サド・マゾ少年の体験(1969年)
- 『夫が見た』のような傑作を、何故、ほとんどの批評家は黙殺したのだろう
- 谷崎潤一郎「少年」の思い出
- 人間は、多かれ少なかれ、自分の内部に残虐の芽をもっているのである
- 私は、マゾヒストなのだろうか、サディストなのか
●SEXフェスティバルの思い出(1970年)
- 中学時代のワイ本事情
- こいつはかなりシゲキ的であった
- パッとやろうじゃないか
- 赤線へ行く小遣いぐらいは
- 性行為の最中に、家計簿をつけたりしてはいけません
第4章 増村保造監督との仕事 ——マスさんのこと
●アールヌーヴォーの花のように(1987年)
◆Interview 白坂依志夫
「ぼくとキミは違うから合うんだ」
- ただ一回も泣かせないこと」と
- 図式をカリカチュアしてエネルギーで揺さぶる快感
- 人間をヴィヴィッドに描くということは、これはもう大命題で
- マスさんだと、何を書いても安心できるんですよね
- こんなに恨みつらみを書いたのかなあと思って
- 「ぼくとキミは違うから合うんだ」
第5章 "女"について
●女性の分類、A・B・C...(1959年)
- いいえ、そんな型
- 私はバカよ型
- よしてってば型
- 我慢できないわ型
●斯くも儚いユートピア ——二度の離婚に学んで(1970年)
- 結婚の決意
- 今まで通り自由に、奔放の、生けていけばいい
- モノ書きにはつきもののスランプが訪れてきたのだった
- 生活は、プレイではない
●裏切りは愛の薬味(1984年)
- 男にとっての「愛」とは
- 「私、恋をしてるの。きっと、そのせいだわ」
- 卵君のエゴイズムと僕の場合
- しかし、人生は裏切りの連続でなり立っているのです
●おしゃれごころ ——手の表情(1965年)
- 手は、人間の五体の中でも、一等雄弁であり、微妙な表情をもつものなのです
- 女性プロデューサーのおちつかない手
- 日本の女性も、欧米と少しもヒケをとあらないほど、美しくなった
●こんな女は大嫌い(1960年)
- 明治生まれの母のこと
- 今日の女性の自信が、はたして本質的なものなのかどうか
- ビジネス・ガールの座談会
- 野卑な言葉で恐縮ですが...
第6章 夜の喧騒を跳ねて
●ブルー・ボーイ志願(1959年)
- 「ホルモンのバランスが、おかしいこだよ」
- 脚線美コンクール出場
- ブルー・ボーイズの来日
- 女性化修業
●禁断症状の蟻走快楽(1970年)
- 女性との接吻が無限の時間に感じる
- 花の一つ一つに自分の顔が
- ラリパッパ族の仲間入り
- 得体のしれない生き物の蟻走感、半裸姿の美女、ネオナチの情婦
●ヨコハマ・1965(1965年)
- 中華街、バラック建ての店、ニワトリや豚の首
- 泣いた女がバカなのか だました男が悪いのか
- 街娼、男娼、頬に傷のあるお兄さん
- 米軍キャンプのウエている女房
第7章 人間万華鏡
- 卷恋の女性 <若尾文子>
- 天性の美貌 <池部良>
- サハラに消えた映画 <長谷部安春>
- わが友 <石堂淑朗>
- 鶏アレルギーの才女 <宮内婦貴子>
- 巨星、堕つ <新藤兼人>
- 水木洋子美容室 <水木洋子>
- 男冥利 <安部公房>
- その人の光と影 <市川雷蔵>
- トンカツとスキヤキ <市川崑>
◆巻末対談
「二十年ぶりに会ったらこんな対談になってしまった ——僕たちのヌーヴェルヴァーグをめぐって」
白坂依志夫(脚本家)×篠田正浩(映画監督)
◆白坂依志夫のこと 恩地日出夫(映画監督)
◆白坂依志夫